1番人気はいらない、欲しいのは1着

サニーブライアンの大西直宏がダービーの際に残した名言だが、この言葉にふさわしい馬が他にもいるとしたら、その1頭はアドマイヤグルーヴになるだろう。

牝馬3冠すべてで苦渋を舐めた馬。しかし、そこから逆転劇と連覇を演じてみせた名牝。

2012年10月15日、残念ながら12歳の若さで息を引き取ったが、その一生は人々を引きつけてあまりあるものだった。




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宿敵スティルインラブに敗れた牝馬3冠

アドマイヤグルーヴは……

父:サンデーサイレンス
母:エアグルーヴ(グレイソヴリン系)
母父:トニービン

という超良血馬。デビューからひたすら1番人気を刻み続け、3連勝を果たすと、迎えた桜花賞でも1番人気に支持された。しかし、その前に立ちはだかったのがライバルのスティルインラブだった。

アドマイヤグルーヴは最速の上がりで直線を駆け抜けたものの及ばず、3着に終わると、続くオークスでも1番人気に支持されながら7着に惨敗。その後、休み明けのローズSではデビュー以来初めて1番人気を譲ったものの、復活を遂げて最後の1冠を視界に捉えた。

だが、その夢を打ち砕いたのがまたしてもスティルインラブだったのだ。アドマイヤグルーヴは秋華賞で1番人気に支持され、最速の上がりを使ってライバルを追い詰めながらも結果は2着惜敗だった。対するスティルインラブは牝馬3冠すべてを制覇する快挙を達成。能力の高さは評価されていたアドマイヤグルーヴだったが、レースの終了にスポットライトを浴びたのは常にスティルインラブだった。

「ほしいのは1着なんだよ」。そんな声が聞こえてきそうな、アドマイヤグルーヴの戦績となった。

壮絶な叩き合いと悲願のGI制覇、そして連覇の快挙

しかしリベンジの舞台はすぐに訪れた。秋の女王決定戦エリザベス女王杯で、再びスティルインラブと対戦することになったのだ。このレース、GIで初めて人気をライバルに譲った。初の古馬との対戦という不安もあった。

だが、アドマイヤグルーヴはリベンジを果たすことになる。4枠7番に入ったアドマイヤグルーヴは、鞍上武豊騎手とともにスムーズにレースを運ぶと、直線で前を行くライバルをついに捉えて壮絶な叩き合いに。結果、アドマイヤグルーヴがハナ差だけ先着し、クラシックでの無念を晴らすことになった。

翌年のエリザベス女王杯でも連覇を達成。名牝の称号を確固たるものとし、引退後も産駒に注目が集まる存在となった。

世に残したのは4頭、血を紡ぐ馬は現れるか

しかし残念ながら、アドマイヤグルーヴは4頭を残したのみで、天国へと旅立っていってしまった。アドマイヤセプターが13日の白秋Sに勝った矢先のできごとだっただけに、余計に悔やまれる。

また、奇しくも今年はジェンティルドンナとヴィルシーナが牝馬3冠で密接なライバル関係を築き、前者がすべてのタイトルを取った年であった。これも何かのめぐり合わせといったところか。

とはいえ、名馬の急死は心が痛い。もっともっと活躍馬を出せる馬だったように思うだけに、早すぎる死をただただ残念に思う。どうか、安らかに

菊花賞の穴馬候補

さて、来週は菊花賞。大穴としてぱっと思い浮かぶのは、やはりこの馬だろう。血統的にはこの馬を推さざるをえないし、実際に好走する可能性がないわけではないだろう。穴人気はしそうだが……。その馬の名は……

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