今年はキングジョージを制したデインドリーム (C)Meteorshoweryn
競馬における進化の過程でインブリードは欠かせない要素だと考えられてきた。実際、例えば三代前の祖先と四代前の祖先が同じ馬になる、4×3(もしくは逆に3×4)となる配合は、奇跡の血量18.75%としてもてはやされてきた。
だが、キツいインブリードによる弊害も多々生まれてきた。体質の弱さ、気性難、さらには突然死……。
デインドリーム×フランケル、その夢の配合は、危険性も多分に含んでいる。
怪物と名牝の配合が実現か
一部報道によればデインドリームは今後引退し、初年度の交配相手はフランケルになるのではないかと見られている。
デインドリームといえば昨年の凱旋門賞馬で、今年のキングジョージを制した名牝中の名牝。凱旋門賞とキングジョージを制した牝馬は史上1頭しかいない。それがデインドリームなのだから、いかに素晴らしい牝馬かが分かるだろう。
そしてそのお相手が、デビュー以来13戦13勝で“怪物”の名を欲しいままにするフランケルであるというのだから胸も踊る。今年限りで引退を表明しているフランケルにとって、初年度にデインドリームのような牝馬に種付けできるのは非常に良いことだろう。
(引退レースも勝てば)主にマイル路線を歩んできた無敗の怪物と、クラシックディスタンスの最高峰で結果を出してきた名牝。実現すれば、まさに夢の掛け合わせとなる。
濃すぎるインブリードは破滅の元凶
ただ、しかしながら私個人としては、この2頭を配合にやや否定的な意見を持っている。両馬ともに母父がデインヒル(=3×3)で、ともに父はノーザンダンサー系。5代血統表にはノーザンダンサーの名前が4つも存在するなど、かなりキツいインブリードとなっているのだ。
もちろん、キツいインブリードは数々の名馬を生み出してきた。しかしながらその反面、多くの犠牲も伴ってきたのだ。体質が弱い馬や体の一部がおかしい馬が生まれる可能性も高まり、馬の生命力を削いでしまう可能性も非常に高いからだ。
例えばエルコンドルパサーは極めて近親度合いの高い配合の馬で、実際に競走馬としては大活躍した。凱旋門賞2着の名勝負はいつまでも色褪せないだろう。
しかし、種牡馬として期待されながら7歳時に腸捻転を発症し死亡してしまった。一概に言うことはできないものの、こうした突然死が起こりやすいのも近親交配によるものだと考えられる。
もちろん、デインドリーム×フランケルは夢踊る配合ではあるが、それ相応のリスクも伴うわけだ。
だから私としてはあまり喜んでばかりはいられないというか、心配が先に来てしまうため、もう少し安全な組み合わせを選択して欲しいところなのだが……。果たして、オーナーの判断やいかに。
菊花賞の穴馬候補
さて、来週は菊花賞。大穴としてぱっと思い浮かぶのは、やはりこの馬だろう。血統的にはこの馬を推さざるをえないし、実際に好走する可能性がないわけではないだろう。穴人気はしそうだが……。その馬の名は……
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