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前回はアルゼンチン共和国杯の「好走血統」について説明した。

検証の中で、「東京芝2500M」はスタミナが求められるため、「長距離GI血統や凱旋門賞血統」が激走していることが分かった。

今回は別の角度からアルゼンチン共和国杯の好走馬を導き出していく。キーワードはずばり「馬齢」だ。

高齢馬惨敗の理由

まず、過去10年の出走馬を年齢別に見た成績を見てみよう。

アルゼンチン共和国杯過去10年年齢別成績

年齢 着別度数 勝率 複勝率 単回値 複回値
3歳 0- 2- 1- 7/ 10 0.0% 30.0% 0 130
4歳 5- 4- 5- 25/ 39 12.8% 35.9% 69 106
5歳 3- 2- 1- 35/ 41 7.3% 14.6% 38 54
6歳 2- 2- 2- 33/ 39 5.1% 15.4% 118 66
7歳以上 0- 0- 1- 33/ 34 0.0% 2.9% 0 7

まず目に止まるのが「高齢馬の不振」だ。34頭が出走しているにもかかわらず、馬券になったのはわずかに1頭のみ。複勝率は3パーセントという目も当てられない成績だ。

しかも唯一好走したコイントスは3走前の札幌記念で3着、前走の京都大賞典で2着と好走し、2番人気に支持されている。しかし、3着と期待を裏切った。つまり、7歳馬以上で人気以上に走って馬券に絡んだ馬は、過去10年で1頭も存在しない。

では、なぜ高齢馬はアルゼンチン共和国杯で好走できないのか?

理由は簡単。「2度の坂越え」によりスタミナが求められるため、フレッシュな若い馬たちのほうが有利だからだ。

実際、3歳馬や4歳馬は複勝率30パーセントを超える好成績を収めている。

アルゼンチン共和国杯では「高齢馬は消し」が鉄則なのだ。

4歳馬が躍動するワケ

では、なぜ4歳がこれほどまでに良い成績を収めているのか。

一つは「競走馬のピーク」が影響しているだろう。競走馬のピークは4歳秋と言われている。実際、天皇賞秋やジャパンカップの歴代勝ち馬を見ても、4歳馬が優秀な結果を残している。

競走馬としてピークの状態にある馬が良い成績を残すのは当然のことだ。

そしてもう一つ、「JRAの制度」が4歳馬の激走に大きく影響している。

現行の制度では、夏に一度賞金が半減される。このあおりを最も受けるのが4歳馬だ。実力があって重賞で好走しているにもかかわらず、賞金が足りないため大レースに出られないといったケースが多々見られる。

例えば先週、天皇賞秋を制したジャスタウェイは、週初めの段階では「除外対象」だった。重賞で3走連続で2着になっていたにもかかわらず、賞金が足りなかったため、出走すらかなわなかったかもしれないのだ。

結局、回避する馬が多く出たため除外は免れたが、一歩間違った方向に進めば、府中のターフにすら立てない可能性があった。

まとめると、4歳馬は賞金の面で不利な立場にある。天皇賞秋やジャパンカップで主役級になれる力があっても、賞金が足りない出走がかなわないことも。

そして、そういった馬たちが賞金を稼ぐためにアルゼンチン共和国杯に出走してくる。だから、4歳馬の激走が目立っているのだ。

実際、アルゼンチン共和国杯は近年「出世レース」として知られている。

2008年の覇者スクリーンヒーローは次走のジャパンカップでウオッカやディープスカイを破ってGI初制覇を成し遂げた。

2010年の王者トーセンジョーダンは、翌年の天皇賞秋を制し、2011年の勝ち馬トレイルブレイザーも次走のジャパンカップで4着に入り、ブリーダーズカップターフでも4着となっている。(※いずれも当レースを勝ったのは4歳時)

繰り返すが、彼らのようにGI級の力がある馬が賞金稼ぎのため出走してくる。だから4歳馬の激走が目立っているのだ。

今年も将来が期待される4歳馬には注意が必要だろう。特に近走充実しているにもかかわらず、賞金が足りずに大きなレースで使えないような馬には要注意だ。

となると、将来が期待されるこの4歳馬は馬券に絡んでくる可能性がとても高い。

その馬の名は→

次回も引き続き、「馬齢」についての考察を行う。今度は「5、6歳馬の好走の条件」について。乞うご期待!