(C)あの日感じた風

今回は菊花賞の「全頭診断」を行う。

これまで主に「内外の有利不利」、「上がりの重要性」、「血統」について考察してきた。

そのことも考慮した「総評」をお届けする。出走頭数多いため、今回は3回に分けてお送りする。

週末の予想に直結する可能性が高く、内容は必見。最後の1冠を目指す牡馬たちを、紐解いていこう。

全頭診断その1

今回から血統評価をA〜E(Aが最高、Eが最低)で記載する。ご参考までに。なお、この評価はあくまでも血統のみを評価したもので、好走の可能性を評価したものではない。例えば今回で言えば、ネコタイショウに「A」を、エピファネイアに「C」をつけているが、好走の可能性が高いのはエピファネイアに決っている(笑)。

あくまでも血統がそのレースに向いているかどうかを示す指標だと理解してほしい。

ケイアイチョウサン(B)
父ステイゴールド、母父シンボリクリスエスという血統。オルフェーヴル、ゴールドシップとステイゴールド産駒が連覇中の菊花賞だけに、無視できない馬だろう。

もっとも、前述の2頭に比べて推しきれない馬ではある。オルフェーヴルとゴールドシップの母父が天皇賞春馬のメジロマックイーンだったのに対し、ケイアイチョウサンの母父は長距離レースで実績のないシンボリクリスエス。天皇賞春馬イナリワンの父であるミルジョージが母母父というのは強調材料だが、好走血統にピッタリ合致、という程でもない。

鋭い上がりを使える瞬発力を持った馬であるという点はプラス。ただ、位置取りが後ろすぎる点は気になる。ここ4年の好走馬12頭は、前走における4角の位置取りが8番手以内だった。ケイアイチョウサンは2走連続4角通過順が2桁。おそらくスローペースになるため、4コーナーでは馬群が凝縮するはずで、1枠1番で位置取りが後ろ過ぎると包まれてしまう懸念もあるが、どうか。

ネコタイショウ(A)
父サムライハート、母父ダンシングブレーヴという血統。サムライハートはサンデー系で、菊花賞2着のフォゲッタブルの全兄。ダンシングブレーヴは凱旋門賞馬と、好走血統に合致している。

しかし、実力的に厳しいだろう。

この馬が挙げた2勝はいずれも重馬場でのものだった。そしてダンシングブレーヴは重馬場の鬼であり、かなり馬場による後押しがあったと考えられる。

前へ行って速い上がりを使えるタイプでもない。セイウンスカイ以来、逃げ切り勝ちがないことでも分かるとおり、菊花賞は逃げ馬に厳しい舞台。実力の劣る単なる逃げ馬が穴を開けるとは考えにくい

エピファネイア(C)
基本的な考えは既に記したので、参照は以下まで。

菊花賞でエピファネイアは勝てない?〜危険な人気馬の“欠陥”を暴く〜

かかりグセのあるエピファネイアにとって、前に壁を作れる内枠はプラスだろう。もっとも、やはり血統面がネックで、単勝1倍台で本命にする馬ではない。

これでエピファネイア(かユールシンギング)が勝ったら、母父スペシャルウィークは超偉大。(この件に関しては後日また改めて)

フルーキー(D)
父リダウツチョイス、母父サンデーサイレンスという血統。リダウツチョイスはマイル以下のGIを4勝している馬で、菊花賞で求められる「一定のスタミナ」を満たすような種牡馬ではない。母父サンデーサイレンスだけでは荷が重いはずで、血統的には適正が高くないと判断する。

キャリア6走中5走で上がり1位、2位1回という強烈な末脚の持ち主だが、その武器を生かすためにはスタミナが必要。騎手浜中俊、野分特別からの参戦というのはスリーロールスを思い出させるが、この馬にとって斤量が3キロ増えることも大きなハンデになりそう。

相当のスローペースになってスタミナを全く問われないような展開にならない限りは厳しいと見る。

テイエムイナズマ(C)
父ブラックタイド、母父ダンジグという血統。ブラックタイドは言うまでもなくディープインパクトの全兄であり、好走血統に合致。ただ、母父ダンジグはそこまで強調できるわけでもなく、かもなく負荷もなくといったところ。

前走は競馬にならなかったためノーカウントでいいが、ケイアイチョウサンと同じく脚質面は気になるところ。

ヤマイチパートナー(A)
父サムライハート、母父リアルシャダイという血統。サムライハートは名牝エアグルーヴの仔で、凱旋門賞トニービンの血を持ち、菊花賞2着のフォゲッタブルが半弟にいるという超良血馬だ。

母系を見てもスタミナは豊富。リアルシャダイは菊花賞馬ライスシャワーを輩出し、最近では15番人気で2着に激走したフローテーションの母父としても知られている。しかも母母父のシーホークはサンクルー大賞(仏GI/芝2400M)を制し、種牡馬として英セントレジャー(GI/芝2800M)馬やアスコットゴールドカップ(英GI/芝4000M)馬を輩出したスタミナ豊富な馬だ。

つまり、ヤマイチパートナーは「瞬発力×一定のスタミナ」という菊花賞の好走血統に完全に合致している。

脚質的にもいい。極端に切れるタイプではないが、好位から抜けだしてそれなりの脚を使えるだけの能力は持っている。2週連続武幸四郎が来るのか、というのはかなり疑問ではあるものの(苦笑)、それ以外はとても魅力的な馬だ。

ということで、現時点で最も買いたい馬はこの馬

その馬の名は……(現在10位前後!当サイトの紹介欄に答えを掲載しています)

次回は「全頭診断」の第2弾を届ける予定。乞うご期待!