(C)tonynokeiba

前回は菊花賞の「舞台設定」について検証した。

その過程で「距離ロス」が防げる「内枠が有利」なことが分かり、京都芝外回りコースの特性から「持続的なスピード」を使える馬を買うべきだと記した。

しかし、菊花賞は特殊なレースであるため、「持続力」よりも重要な要素がある、というところまでで前回は終わった。

今回はその続き、菊花賞における「必須要素」について探っていく。カギを解き明かすために、レースラップを分析していこう。

中盤の緩みと瞬発力

以下が過去5年の菊花賞のラップ推移と、1000M区切り(テン、中盤区間、上がり)での比較、そして上がりの3ハロンを比較したものだ。

2008年
12.9-12.2-11.0-11.7-11.0-12.2-13.9-13.8-13.5-13.3-12.9-12.0-11.5-12.1-11.7
58.8−66.6−60.3
※上がり3ハロン35.3

2009年
12.9-11.5-11.7-11.9-11.9-12.1-12.6-12.6-12.5-13.4-12.9-11.7-11.4-12.2-12.2
59.9−63.2−60.4
※上がり3ハロン35.8

2010年
13.2-11.5-11.8-12.5-12.0-12.5-13.2-13.0-13.1-12.7-13.0-12.0-11.8-11.9-11.9
61.0−64.5−60.6
※上がり3ハロン35.6

2011年
12.7-12.2-12.0-12.0-11.7-12.3-12.7-12.6-12.4-12.1-12.9-12.1-11.5-11.6-12.0
60.6−62.1−60.1
※上がり3ハロン35.1

2012年
13.0-11.9-12.2-12.2-11.6-11.6-12.6-12.5-12.3-12.2-12.5-12.2-11.9-11.8-12.4
60.9−61.2−60.8
※上がり3ハロン36.1

まず、すべてのレースで共通するのは「中盤区間の1000Mのタイムがテンや上がりの1000Mと比較した時、最も遅い」ということだ。

菊花賞は3000Mという長丁場のため、常にスピードを出していてはガス欠になってしまう。だから各馬、中盤区間でスタミナを溜めるために、中盤でペースが遅くなる傾向にある。

昨年はマウントシャスタやゴールドシップがまくったことでレースに動きが生じて持続的なレース質になったが、これは例外的と言っていい。

通常の菊花賞は「中盤が緩む」。これが鉄則なのだ。

当然、中盤が緩めば「速い上がり」が求められる。そう、菊花賞は速い上がりが使えなければ好走が難しいレースなのだ。

実際、過去5年の連対馬10頭中9頭は速い上がりを使っていた。

2012年
1着 ゴールドシップ ※上がり1位
2着 スカイディグニティ ※上がり3位

2011年
1着 オルフェーヴル ※上がり2位
2着 ウインバリアシオン ※上がり1位

2010年
1着 ビッグウィーク ※上がり4位以下
2着 ローズキングダム ※上がり2位

2009年
1着 スリーロールス ※上がり3位
2着 フォゲッタブル ※上がり2位

2008年
1着 オウケンブルースリ ※上がり2位
2着 フローテーション ※上がり1位

ご覧のとおり、ビッグウィーク以外の連対馬はすべて「上がり3位以内の末脚」を使って好走している。

菊花賞は3000Mの長距離戦であるため、ベースとなるスタミナがなければ好走することはできない。しかし、だからといって消耗戦にはならない。求められるのは「一定以上のスタミナと瞬発力」なのだ。

血統的にも「瞬発力とスタミナを兼ねそろえた血」を買うべきなのである。

では、これを踏まえた上で、圧倒的1番人気に支持される皐月賞・ダービー2着馬のエピファネイアはどういった評価になるのか? 私はこう考えている。

エピファネイアの現時点での評価とは→(現在10位前後)

次回の検証では、そのエピファネイアについて掘り下げていく。この馬は人気に応えて悲願のクラシック制覇を成し遂げられるのか?彼が好走できるかどうかが、馬券的中に直結してくるだけに、慎重に探っていきたい。乞うご期待!