今回は菊花賞における“消しデータ”を紹介する。
京都芝3000mという特殊な環境で行われる菊花賞は、データとして有利不利が現れやすい。だから強調できるデータ、できないデータが明確にある。
今回はそのうちからいくつか紹介していこう。
馬体重
馬体重は秋華賞でも重視したファクターだ。
コーナーは馬群が密集し、揉まれやすい。だからコーナーが多いレースの場合、馬体重が軽い馬は体力を消費するリスクが高いのだ。
秋華賞では「440キロに満たない馬は危険」とお伝えした。
2歳女王のレッドリヴェールや、半姉にブエナビスタを持つ良血馬サングレアルを「無印」としたのは、馬体重が軽すぎることも大きかった。(もちろん、他にも複数の理由があったが)
菊花賞は長距離でコーナーが6回。当然、馬格のある馬のほうが有利になる。
以下は過去10回の菊花賞において、馬体重が460キロ未満だった馬の成績だ。
◆馬体重別集計
集計期間:2004.10.24 ~ 2013.10.20
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着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
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2- 0- 2-33/37 5.4% 5.4% 10.8% 65 32
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ご覧のとおり、かなり低調な成績であることがわかる。好走したのはわずか4頭。
ユウキソルジャー
トーセンラー
ビッグウィーク
ディープインパクト
それぞれ、なぜ不利がありながら好走できたのか、理由を探っていこう。
ディープインパクトは説明不要だろう。絶対能力の違いにより、馬体重の不利を克服できたのだ。
ユウキソルジャーは血統を見れば完全に納得できる。特注血統を持った「血統評価ナンバーワン」の馬だったのだから。ディープインパクト産駒の京都巧者、トーセンラーも同じように適性が高かった。(同馬は人気馬で能力も高かった)
ビッグウィークに関しては展開と位置取りがすべてだった。完全に前残りの展開だったし、大逃げを打ったコスモラピュタから離れた2、3番手を追走してほとんど揉まれることがなかったのだ。
つまり……
・メンバー中屈指の血統
・展開に恵まれる
この2つがない限り、馬体重の軽い馬が好走するのは難しい。
では馬体重の重たい馬はどうかというと、単純に強調できる。
・馬体重480キロ以上
・当日一桁人気
上記に合致する馬の成績はというと……
◆人気別集計
集計期間:2004.10.24 ~ 2013.10.20
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着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
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7- 5- 6-38/56 12.5% 21.4% 32.1% 220 122
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ご覧のとおり、好走馬の半数以上が480キロ以上だった。回収率も秀逸。
だから基本的には馬体重の重たい馬を狙っていくべきなのだ。
キャリア数
菊花賞はクラシック最後の1冠だ。近年は権威が失われつつあるものの、くさってもクラシックはクラシック。ここで好走する馬はほとんどが世代トップクラスの能力を持つエリートである。
だから、キャリアが多すぎる馬というのは強調できない。
まず、キャリアを多く重ねなければいけないということは、単純に弱い可能性が高い。
そして3000mという距離をこなす上で最大の敵は“見えない疲労”だ。キャリアを重ねすぎた馬は出走レースが多く、休む暇がないため、見えない疲労が溜まっている可能性が高い。
実際、キャリア11戦以上の馬の成績を見てみよう。
◆キャリア別集計
集計期間:2004.10.24 ~ 2013.10.20
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キャリア 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
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11戦~ 0- 0- 2- 37/ 39 0.0% 0.0% 5.1% 0 35
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ご覧のとおり、ほとんど好走が期待できない。例外は2頭。
ビートブラック
アドマイヤメイン
ビートブラックは「血統評価ナンバーワン」で血統面の後押しが大きかったわけだ。
そしてアドマイヤメインはダービー2着馬であり、菊花賞でも3番人気に支持された実力馬だった。
しかも2頭とも、2歳〜3歳春までに未勝利や500万の突破に時間がかかっただけで、夏場はしっかりと休養に充てている。溜まった疲労を回復するだけの時間はあったわけだ。
・メンバー中屈指の血統
・春のクラシック好走馬
これくらいの背景がなければ、不利を覆すことは難しい。
ちなみに、今回の出走馬の中で、この2つのマイナスファクターに合致している馬が1頭存在する。
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おそらくそこそこ人気に支持されるだろうが、データ的な観点からは“危険な穴人気馬”ということができそうだ。