菊花賞はワンアンドオンリーの“1強ムード”が漂っている。

皐月賞4着、ダービー制覇、前哨戦の神戸新聞杯でもライバルを退けたことを考えれば、当然の論調と言えるだろう。

しかし、ワンアンドオンリーに死角がないかといえば、そうではない

少なくとも私はそう考えている。

例えば血統で馬券を買う人間からすると、「頭固定」は危険に思わずにはいられない。

ワンアンドオンリーの頭固定が危険な理由

ワンアンドオンリーはハーツクライ産駒だ。

ハーツクライといえば豊富なスタミナを誇る種牡馬で、ウインバリアシオンが天皇賞春で馬券になり、ギュスターヴクライやフェイムゲームが3000mを超える重賞を制している。スタミナ面では問題ない。

しかし、“圧倒的1番人気”というシチュエーションがなんとも不気味だ。

ハーツクライは1番人気での期待値が低く、2、3番人気での期待値が極めて高い種牡馬なのだ。以下のデータは、ハーツクライ産駒の重賞における人気別の成績をまとめたものだ。

◆ハーツクライ産駒成績
集計期間:2010.10.16 ~ 2014.10.19
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人気 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
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1番人気 6- 4- 1-12/23 26.1% 43.5% 47.8% 66 64
2番人気 4- 5- 5-13/27 14.8% 33.3% 51.9% 80 86
3番人気 4- 4- 0-12/20 20.0% 40.0% 40.0% 162 85
4番人気 0- 4- 1- 8/13 0.0% 30.8% 38.5% 0 85
5番人気 2- 1- 2- 8/13 15.4% 23.1% 38.5% 211 107
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ご覧のとおり、なんと1番人気の複勝率より2番人気のほうが高い。さらに複勝回収値は1番人気がワーストとなっている。

これはどういうことなのか?

ハーツクライという種牡馬を説明する上でヌーヴォレコルトの戦績が非常にわかりやすいため、引用して説明しよう。

ヌーヴォレコルトに見るハーツクライ産駒の特徴

ヌーヴォレコルトはオークスを2番人気で迎えた。2番人気と言っても、ハープスターが単勝オッズ1.3倍という圧倒的1番人気に支持されていたため、単勝オッズは9.8倍。

つまり、オークスのヌーヴォレコルトは明らかに“挑戦者”だった

普通にレースをしたら負ける。だから思い切ったレースをすることが求められる。それがオークスのシチュエーションだったのだ。

実際、ヌーヴォレコルトはハープスターより積極的な競馬をし、直線で早めに抜けだして押し切ることができた。

挑戦者として大胆な競馬をすること。鞍上が守りに入らず、積極的に乗ること。

それが、ハーツクライ産駒が最も力を発揮するシチュエーションなのだ。

一方、秋華賞ではどうだったか?

今度はヌーヴォレコルトが圧倒的な1番人気に支持された。

すると、中団から構えて直線で外に出すという“王道”の競馬をすることになった。しかし、こういった消極的な競馬でハーツクライ産駒の良さを出すことはできない。

結果、ロスなく内をついて先頭に踊りでたショウナンパンドラに屈することになった。

岩田騎手は1番人気だから外を回す競馬を選択した。2、3番人気ならショウナンパンドラの浜中騎手のような乗り方をしたはずだ。

圧倒的1番人気馬がするような消極的な競馬はハーツクライ産駒には合わない。

秋華賞のヌーヴォレコルトが、それを証明している。

神戸新聞杯は1番人気で勝利したが……

ワンアンドオンリーは神戸新聞杯で圧倒的1番人気の支持にこたえた。当然のことだが、力が抜けていればああいう芸当もできる。

ただ前哨戦を勝ったことが菊花賞でプラスに働くとは限らない。

神戸新聞杯で勝ったため、菊花賞で単勝1倍台の支持を受けることはほぼ確実になった。どんなにオッズが落ちても、2倍台前半だろう。

そうなると、“王道の競馬”が求められる。となると、どうしてもハーツクライ産駒の良さが消されてしまう

思えばダービーは積極的な先行策が実って得た栄冠だった。3番人気というシチュエーションは、ハーツクライ産駒にとって絶好だった。

今回の圧倒的1番人気というシチュエーションは、あまり好ましいものではないはずだ。

だからこそ、ワンアンドオンリーを頭固定にするのは危険と言わざるをえない。

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