前回の新潟2歳Sの検証では好走血統を取り上げた。

タフな条件で行われる新潟2歳Sでどんな血が強調できるのか、わかったと思う。

今回も引き続き血統面を見ていくことにしよう。

シンプルに瞬発力の血を買う

ここまでの検証では、散々「タフさ」や「我慢できる血統」といった表現を用い、ひたすらズブい血が強調できるかのように書いてきた。

しかし、実際にはそうではない。

タフさ以前に、最後の直線で速い脚を使えるような“下地”がないと、好走は難しいからだ。

実際、同じようにタフさが求められた関屋記念を制したのはサンデー系のダンスインザダーク産駒クラレントだった。

新潟2歳Sの歴代好走馬を見ても、サンデーサイレンス系の血が占める割合がかなり大きい

2013年
1着 ハープスター
父ディープインパクト

2着 イスラボニータ
父フジキセキ

3着 ピークトラム
母父スペシャルウィーク

2012年
1着 ザラストロ
母父ダンスインザダーク

2011年
1着 モンストール
父アドマイヤマックス

2着 ジャスタウェイ
父ハーツクライ

2010年
1着 マイネイサベル
母父サンデーサイレンス

2着 マイネルラクリマ
母父サンデーサイレンス

3着 レッドセインツ
父ディープインパクト

2009年
1着 シンメイフジ
父フジキセキ

2着 フローライゼ
父ニューイングランド

3着 クロフォード
父フジキセキ

ご覧のとおり、2012年を除き、ほとんどの年でサンデーサイレンスの血を持った馬が馬券を独占していた。

では、2012年はなぜ例外的にサンデーの血を持った馬が好走できなかったのか? そこには明確な理由が存在する。

以下は、各年のテンの3ハロンと、上がり3ハロンを比較した数字だ。

2013年
35.3−33.8

2012年
35.1−34.6

2011年
36.0−33.1

2010年
36.0−34.2

2009年
35.1−33.8

違いがお分かりになるだろうか? 2012年を除く4年は「テンの3ハロン−上がり3ハロン=1秒以上の差」だったのに対し、2012年はわずか0.5秒と差が微々たるものだ。

つまり、2012年は例年以上に持続的なスピードを要求された。だからサンデー以外の血を持った馬が台頭したのだ。

しかし、この年はかなり例外的で、普通は2012年以外の4年のようなペース(テンより上がりが重視され、瞬発力が生きてくるペース)を刻む。

だから、基本的にはサンデーサイレンスの血を信頼してよいのだ。

ということで父か母父にサンデーサイレンスの血を持たないこの馬は、「危険な人気馬」候補の1頭といえそうだ。

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