前回の検証では天皇賞秋の「重要ファクター」について記した。
天皇賞秋は府中の根幹距離で行われるGIであり、「58キロ」という過酷な斤量を背負って走らなければならない。
そういった舞台で激走するためには「実績」が重要になることが分かった。
今回は天皇賞秋に限定せず、重馬場、不良馬場で行われるGIの傾向について見ていこう。
鍵になるのは「常識を疑うこと」だ。
重馬場GIの意外な真実
よく「重馬場のレースは荒れる」という言葉を聞く。言ってみれば競馬の格言のような言葉だ。
確かに重馬場のレースは荒れるイメージがある。馬場状態が変わることで良馬場の時と求められる要素も変わるため、重馬場に適正がある意外な穴馬が台頭するケースがあるからだ。
私自身、何度も重馬場巧者にお世話になった。
しかし、断言するが、ことGIに関してはこの格言は「真っ赤な嘘」だ。
実際、2000年以降の重馬場・不良馬場で行われたGIの勝ち馬を見てみよう。
2013年 菊花賞
1着 エピファネイア(1番人気)
2012年 エリザベス女王杯
1着 レインボーダリア(7番人気)
2011年 日本ダービー
1着 オルフェーヴル(1番人気)
2009年 日本ダービー
1着 ロジユニヴァース(2番人気)
2008年 宝塚記念
1着 エイシンデピュティ(5番人気)
2007年 スプリンターズS
1着 アストンマーチャン(3番人気)
2007年 高松宮記念
1着 スズカフェニックス(1番人気)
2004年 スプリンターズS
1着 カルストンライトオ(5番人気)
2003年 ジャパンカップ
1着 タップダンスシチー(4番人気)
2001年 天皇賞秋
1着 アグネスデジタル(4番人気)
2001年 日本ダービー
1着 ジャングルポケット(1番人気)
2000年 天皇賞秋
1着 テイエムオペラオー(1番人気)
ご覧のとおり、13レース中、実に5度も1番人気が勝っている。全体を見ても、エリザベス女王杯のレインボーダリアの例こそあるものの、それ以外はすべて5番人気より人気の馬が制していた。
馬場が重たいということは、底力が求められる。つまり、基本的には強い馬しか好走が望めないシチュエーションなのだ。
ちなみにブエナビスタが勝った天皇賞秋の年も台風騒動があった。結局、直前で通り過ぎたため、馬場は回復し、天皇賞が行われる日曜の15時には稍重まで回復したが、勝ったのはやはり1番人気のブエナビスタだった。
もちろん、2、3着に人気薄が突っ込んでくる可能性は否定しないが、少なくとも超人気薄がゴール盤を1着で駆け抜けて大番狂わせを起こす可能性はかなり低い。今年の天皇賞秋も馬場が渋って開催されれば、5番人気以内に支持された実力馬のいずれかが勝利を収めるはずだ。
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さて、次回はいよいよ天皇賞秋の全頭診断を行う。乞うご期待!!