前回は「スプリンターズSの好走血統」について記してきた。
今回は少し思考を変えて、「ローテーション」について触れてみようと思う。スプリンターズSで好走する上で、どういったローテーションが有利になるのか、あるいは不利になるのか。
電撃6ハロンのスプリント王決定戦で最も問われるのはやはり「スピードの有無」だ。
もちろん、スタミナなどの要素も必要であるものの、スピードという絶対的な必須要素が欠けていれば好走することは不可能である。
そういった意味で、「距離短縮というローテーションははっきり良くない」。
1400Mやマイルから距離短縮してくる馬の場合、スピードに対応できないケースが目立つのだ。
例えば過去5年のスプリントGI(高松宮記念とスプリンターズS)における前走の距離別成績を見てみると……
1200M(同距離)
(8−7−8−97)
単勝回収値61
複勝回収値83
距離短縮
(2−3−2−36)
単勝回収値20
複勝回収値41
ご覧のとおり、前走同じ1200Mを使っている馬のほうが単勝回収値が3倍、複勝回収値が2倍も良い成績だ。もちろん、1400Mがベストの馬が使うレースがないという理由で出走してくるケースもあり、そもそもスプリント戦のスペシャリストたちと戦うレベルにない、といった要素もあるだろう。
しかし、成績が倍近く違うというのは注目すべき点だろう。
実際、特にスプリンターズSは距離短縮が不利になるケースが目立つ。2004年まで振り返ってみても、距離短縮馬の成績は(1−1−1−18)と無残な結果しか残っていない。(※2010年のサンカルロは4着入線のため着外扱い)
しかもここで好走した3頭はすべて同じ2005年のスプリンターズSに出走した馬であり、1、2、3番人気だった。その3頭、サイレントウィットネス、デュランダル、アドマイヤマックスはすべてGI馬であり、力が違ったということだ。基本的に距離短縮で強調できる要素はないと考えていいだろう。
GI級の力を持っていない限り、距離短縮ローテの壁を打ち破ることは難しい。となると、5番人気前後の中穴に支持されそうなこの馬は厳しい戦いを強いられそうだ。