今週は秋古馬3冠の第一関門、天皇賞秋の徹底検証を行っている。

今回は上位人気に支持されることが確実な皐月賞馬イスラボニータについて考えていきたい。

秋華賞では「ヌーヴォレコルトの頭固定は危険」と断言。菊花賞の際には「ワンアンドオンリーとトゥザワールドの不安要素」を書き、いずれもズバリ的中した。

今回、イスラボニータの評価とは果たして?

イスラボニータの不安要素

イスラボニータはデビュー以来、安定した戦績を重ねている。6勝、2着2回と連対はパーフェクト。皐月賞1着、ダービー2着と順風満帆なキャリアを送っている。

そんなイスラボニータだが、不安要素がないとはいえない。

なんといっても血統面に疑問を抱かざるをえないのだ。

単純に、フジキセキ産駒を2000m以上のGIで支持することは難しい。まずは2000m以上の芝GIにおけるフジキセキ産駒の成績を見てみよう。

◆フジキセキ産駒成績
集計期間:2000. 4.16 ~ 2014. 6. 1
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着別度数 勝率 複勝率 単回値 複回値
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1- 7- 1-64/73 1.4% 12.3% 6 41
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70頭以上が走って勝利したのはわずか1頭。複勝率にしても12%と、かなり低調な成績だ。

さらに複勝回収値は41と極めて低調。これは穴馬が走っていない(=適正が低い)ことを示している。

唯一の勝ち馬こそイスラボニータだし、ダービーでも2着に来ているため、距離の不安は感じられないという意見もある。しかし、本当にそうだろうか?

血統的な検知から見ると、不安に掻き立てられる

なぜなら、若い馬というのは能力や周囲との力関係で距離をこなす傾向にあり、歳を重ねれば重ねるほど距離の融通は効きにくくなってくる。フジキセキ産駒に関しては、この傾向が顕著といえる。

実際、フジキセキ産駒が最も好成績を挙げている2000m以上のGIこそ、皐月賞なのだ。

サダムパテック 2着
ドリームパスポート 2着
ダイタクリーヴァ 2着

イスラボニータ以外にも皐月賞で連対を果たした馬はいる。

また、今年のダービーを振り返ってみると、かなりペースが緩んでいたことがわかる。以下のラップの推移を見てほしい。

2013年 日本ダービー
12.5 – 10.6 – 11.8 – 12.2 – 12.5 – 12.1 – 12.7 – 13.6 – 12.2 – 11.6 – 11.1 – 11.7

12ハロンを4ハロンずつに分けて考えると、中盤の4ハロンはすべて12秒台以上。しかも13.6秒まで落ちた区間がある。

さらにレースを振り返ってみると、エキマエが1頭だけ飛ばして2番手以降とは距離があった。言い換えれば、2番手以降は数字以上にスローペースだったことになる。

そんなゆるい流れなら、前にいた馬は残れてしまう。実際、4角6番手以内で回った馬が上位4位までを独占している。イスラボニータは4角2番手。展開の恩恵を受けていたわけだ。

そして最後に3歳春に行われる皐月賞、オークス、ダービーの3つを除外し、3歳秋以降に行われる2000m超GIにおけるフジキセキ産駒の成績を見てみよう。

◆フジキセキ産駒成績
集計期間:2000.10.15 ~ 2013.12.22
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着別度数 勝率 複勝率 単回値 複回値
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0- 2- 0-36/38 0.0% 5.3% 0 10
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ご覧のとおり、かなり絶望的な数字となっている。好走したのは3歳秋のドリームパスポート(菊花賞とJCでともに2着)のみ。

ドリームパスポートが距離を克服したことを考えると、イスラボニータにも可能性がないわけではない。

ただ、ドリームパスポートの母父は凱旋門賞馬のトニービンだった。対するイスラボニータの母父はマイル前後で活躍したコジーン。どちらのほうが距離の融通がきくかは、火を見るより明らかだ。

今後、様々な検証を行った上で最終結論を導き出す際に高い評価を与えるかもしれない。ただ、少なくとも血統的な適性が「最高」とはいえず、不安要素が多々ある人気馬だということは頭に入れておく必要があるだろう。

ということで現時点でのイスラボニータの扱い(D)は↓↓
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フジキセキ産駒が古馬の2000m超GIを勝つとしたら快挙であるが、果たして……。