今回は秋華賞の「全頭診断」を行う。
これまで主に「展開」、「血統」、「枠順」、「ローテーション」について記してきた。
そのことも考慮した「総評」をお届けする。出走頭数多いため、今回は3回に分けてお送りする。
週末の予想に直結する可能性が高く、内容は必見。最後の1冠を目指す乙女たちを、紐解いていこう。
全頭診断その3
※コース成績のデータは単勝50倍以上の馬は除外
リラコサージュ
父ブライアンズタイム、母父キングマンボという血統。母父キングマンボというのは良いが、マコトブリジャールの欄でも書いたが、サンデーサイレンスの血を持っていない点はマイナスだ。
父ブライアンズタイムというのも気になる。スピードの持続力という点は望めるが、さすがに父ブライアンズタイムとなると、やや重すぎる印象で、高速馬場への対応には疑問符がつく。
また、この馬は実力面でも厳しいと考えられる。例えばオークス敗退組は過去5年で8頭が出走しているが、秋華賞で馬券になったのは「0.8秒差以内」で敗れた馬ばかりだった。
2012年
ヴィルシーナ
0.8秒差
2011年
ホエールキャプチャ
0.0秒差
2010年
アニメイトバイオ
0.5秒差
アプリコットフィズ
0.6秒差
2009年
レッドディザイア
0.0秒差
ブロードストリート
0.8秒差
2008年
ブラックエンブレム
0.3秒差
ムードインディゴ
0.8秒差
ご覧のとおり、ブラックエンブレムやムードインディゴ、アニメイトバイオといった人気薄馬たちも、実はオークスではまずまずの好勝負を演じていたのだ。一方、リラコサージュは1.3秒差の負け。前走もあまりに負けすぎているし、巻き返しを求めるのは酷だろう。
デニムアンドルビー
父ディープインパクト、母父キングカメハメハという血統。母父にミスプロ系の血を持ち、血統的には強調できる。
前走は3角18番手からまくって差しきるという強い競馬を見せて、1番人気は確実。だが、だからこそ不安要素も大きいと感じる。
まず、母父のキングカメハメハは道悪巧者であり、母母父のヌレイエフも非常にパワーのある種牡馬で、道悪は得意。ローズSの勝ち方は派手ではあったが、フローラステークスでも道悪の中、持ち前の瞬発力で差し切っているように、前走に関しても条件が向いた、という見方ができる。
秋華賞では世代屈指の瞬発力を持った馬が台頭してくるとはいえ、この馬が京都の超高速馬場に適応できるかどうかはかなり微妙だ。コーナー4つのコースでこの脚質ではなおさら。
枠順はベストだが、差し届かずに3着、といったイメージではないだろうか。(余談だが、だからこそ凱旋門賞に行ったら面白かったのではないかと今更思う)
ビーナストリック
父キングヘイロー、母父フォーティナイナーという血統。
前走は函館のスプリント戦だったが、キングヘイローのスタミナと母型のパワーで不良馬場を克服。最内を逃げるという選択も、最善の策だった。つまり、相当条件が向いた中での勝利だったということだ。
今回はサンデーサイレンスの血を持たないことがマイナスとなる舞台。高速馬場。さすがに厳しいだろう。
メイショウマンボ
父スズカマンボ、母父グラスワンダーという血統。父と母父こそ、好走血統ではないが、父母父キングマンボ、母母父ジェイドロバリーはいずれもミスプロ系で、十分に持続的なスピードが求められるレースに対応できる血統だろう。
加えるなら、グラスワンダーの母父はダンジグ。こちらも好走血統に合致している。
前走のローズSは最後は休み明けの影響からか伸び切れなかったものの、力を証明する4着。叩き2戦目の今回はさらに状態を向上させてくるはず。
何より、ローズSで4角9番手以内で回った実績かつ、当日3番人気以内に支持されれば、好走率8割超の秋華賞の“必殺ローテ”に該当する。
枠順はやや外枠の感は否めないが、信用性は非常に高い。あとは騎手次第だろう。
ローブティサージュ
父ウォーエンブレム、母父シングスピールという血統。サンデーサイレンスの血を持っていない点はマイナスだが、彼女は阪神ジュベナイルフィリーズを制した実績馬だ。ミスプロ系の血を持っている点はプラスだし、これまでのレースぶりから持続力レースへの適応も問題なさそう。
3歳になってからは馬券になっていないが、レース内容には見どころもあり、好走ローテーションにも合致していることから期待値は高い。
正直、この馬の特徴的に枠はもう少し内側が良かったが、そこは岩田騎手の腕に期待。ヴィクトワールピサの皐月賞のように、外枠の馬でもいつの間にか内に導く技術は一級品。穴馬候補。
セレブリティモデル
父キングカメハメハ、母父サンデーサイレンスという血統。ティアーモと同じ配合で好走血統に合致している。
母母父セントサイモン系というのも、GIに必要な底力を補う上では強調できる要素だ。
もっとも、この馬も実力面で厳しいと考えられる。オークスでは2.1秒差の負け。その後の戦績も散々。ここでの巻き返しは考えづらい。
ということで、秋華賞で買ってみたい馬はこの馬!
次回はいよいよ、予想をお届けする。各馬の最終評価は? 本命が打たれる馬とは? 乞うご期待!