前回は秋華賞の「注目血統」について検証した。
「スピードの持続力」が重要なため、「アメリカダート血統」が強調できると記した。
今回はアメリカダート血統以外に強調できる血統を、歴代好走馬を振り返って紐解いていこう。
持続力血統の台頭
前回、アメリカダート血統が強調できる理由を、「ダート血統のほうが持続力に優れているから」と記した。当然、持続力に優れていればアメリカダート血統以外にも強調できる血はある。
今回書きたいのは「グレイソヴリン」、そして「ダンジグ」についてだ。
まずはグレイソヴリンから。グレイソヴリン系の最大の特徴は良い脚を長く使えること。すなわち、持続力に優れいていることだ。
グレイソヴリン系トニービンが輩出したジャングルポケットはダービーで優勝し、その息子トーセンジョーダンは天皇賞秋を制した。いずれも舞台は東京競馬場。直線が長い東京競馬場は逃げ切りが難しく、究極の瞬発力か持続的な末脚を使えないと勝つことが難しい。
グレイソヴリン系は後者のタイプであり、他の競馬場でのレースにおいても、持続力が要求されるレースでは必ず台頭してくる。過去の好走馬を見てみても……
2011年
1着 アヴェンチュラ(2番人気)
父ジャングルポケット(グレイソヴリン系)
2着 キョウワジャンヌ(7番人気)
父父母父トニービン(グレイソヴリン系)
2010年
3着 アプリコットフィズ(2番人気)
父ジャングルポケット(前述)
2009年
2着 ブロードストリート(3番人気)
母父コジーン(グレイソヴリン系)
ご覧のとおり、多くの好走馬がグレイソヴリン系の血を持っていた。持続力レースといえばグレイソヴリン。覚えておきたい血統ファクターだ。
ダンジグ系にも注意が必要
もう一つ注目したいのがダンジグ系だ。
ダンジグは現役時代、下級条件で3戦3勝という実績のみだったが、その圧倒的なスピードが評価されて種牡馬入りを果たした。
種牡馬として見事成功したダンジグは現在も、その豊かなスピードを産駒に伝えている。
思い出されるのが2002年に秋華賞を制したファインモーションだろう。父がダンジグ系デインヒルのファインモーションはデビューから5連勝で秋華賞に臨んだ。レースでは前方2番手と先行した上に、上がり33.2という豪脚を披露して他馬を寄せ付けずに快勝した。
また、昨年の牝馬3冠馬ジェンティルドンナも母父デインヒル。こちらも道中まずまずの位置取りにつけて、上がりタイムを3位でまとめて秋華賞を制している。
今年も何頭かグレイソヴリン系やダンジグ系の血を持つ馬が出走してきている。彼らには注意を払うべきだろう。中でも、私はこの馬に注目している。
次回は血統面以外の秋華賞における重要な要素について触れていく。乞うご期待!