「世界の壁は厚かった」という表現は適切ではない。
負け惜しみに聞こえるかもしれないが、日本の中距離路線は世界でもトップの実力がある。
その中で凱旋門賞が勝てていないという現状は本当に残念だが、この「ちょっとした差」は適性の差であって、「日本の馬が弱い」ということにはつながらない。
オルフェーヴルは怪物だと思う。
今年はトレヴに完敗してしまったが、イギリスやフランスのダービー馬が出走する中での2着は素直に評価していいし、昨年も勝ちに等しい内容の2着。日本のGIを5勝して、海外のGIIを2勝、さらに凱旋門賞で2年連続の2着は、誇っていい戦績だろう。
既に報じられているように、有馬記念がラストランの舞台になる。当日は中山競馬場で、この“黄金の暴君”の勇姿を目に焼き付けたい。
キズナは自分の競馬をして、力を出し切っての4着。武豊騎手が4コーナーでオルフェーヴルに蓋をしにいった時は「さすが」と思ったが、結局、伸び切れなかった。
こちらも、やはり適性の差なのだろうと思う。キズナがロンシャンの馬場に適性がないわけではないが、「ないわけではない」馬と「抜群の適性を示し続けてきた」馬とでは、これだけ差がついてしまうということ。
それでも5着以下の面々を見れば、キズナの能力の高さが証明された一戦といってもいいのではないだろうか。おそらく東京競馬場でこの馬に先着できる馬は、(オルフェーヴル以外)いないはずだ。
レース前は本当にワクワクしたし、レース後は本当に落胆した。別に凱旋門賞にこだわる必要はないと思うが、来年以降も挑戦してほしいと願う。
「オルフェーヴルとキズナが負けたから今後10年勝てない」とは全く思わない。
挑戦し続けることで、適性の高い馬は現れるはずだ。
馬場に「適性」のあるジャパンカップでは日本馬が圧勝しているのだから、ロンシャンの馬場に適性のある馬が現れれば「あっさり」があってもおかしくない。
繰り返すが、日本の中距離路線は世界最高クラス。これが今回の凱旋門賞の結果でくつがえることはない。
オルフェーヴル、キズナ、お疲れ様。少年時代に戻ったように、心からワクワクさせてもらったよ!
さて、今週は牝馬クラシック最終戦の秋華賞が行われる。現時点で穴を開ける可能性があると思って注目しているのは、この馬になります。