京都大賞典の3連単360万馬券には驚かされた。
もっとも、ゴールドシップが飛んだという件に関しては、それほどびっくりしていない。
事前に「軸はトーセンラーにしたほうが懸命」と推奨したように、ゴールドシップには不安要素があった。天皇賞春の結果だけを見て決め付けるのは時期尚早だったが、それでもズブいゴールドシップが京都を苦手としている可能性はあったし、その「適性の差」が決定的な差になる可能性があったからだ。
(もちろん、だからといってヒットザターゲットを頭で買うことはできないが……。上で言った「驚き」は、そういう意味での驚き。)
では、なぜゴールドシップは馬券圏内にすら入れなかったのか。その理由は「高速馬場」という1点に集約されている。以下は、京都大賞典の1ハロンごとのラップである。
12.9−11.6−11.6−12.7−12.6−12.4−11.7−11.4−11.1−11.6−11.3−12.0
驚くべきラップだ。レース後に見て、思わず苦笑いしてしまった。
12ハロン中7ハロンが11秒台。しかもその内5ハロンが後半で刻まれたという恐ろしいレースだったのだ。
もちろん、馬の力だけが要因ではなく、明らかに「馬場による影響」といえる。道悪の皐月賞や馬場が渋っていた有馬記念、宝塚記念で勝利し、高速馬場のダービーや天皇賞春であっさり負けたゴールドシップにとって、今回の馬場は厳しいものだったのだ。
ゴールドシップは弱い馬ではない。それどころか、GIを4勝もしている現役屈指の競走馬だ。しかし、馬場適性の差だけで、GIで勝ち負けするレベルにないヒットザターゲットやアンコイルドに負けてしまう。馬場適性の差というのは、競馬においてそれだけ大きなファクターということなのだ。
そう、ここで本稿のタイトルにつながる。京都で勝てなかったからといってゴールドシップは弱い馬ではないし、ロンシャンで勝てなかったからといって、オルフェーヴルやキズナの能力が低いわけではない。馬場次第で、結果はひっくり返る。
今回の京都大賞典、そして凱旋門賞は、競馬の基本を改めて思い出させてくれるレース、良い教訓となった。
さて、今週は牝馬クラシック最終戦の秋華賞が行われる。現時点で穴を開ける可能性があると思って注目しているのは、この馬になります。