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ロードカナロアの強さには脱帽だ。

スプリンターズSの予想の段階で、私はロードカナロアの不安要素として「歴史」を挙げた。

タイキシャトルもデュランダルもカレンチャンも成し遂げられなかったスプリンターズSの連覇。それを、彼はやってのけた。

繰り返すが、その強さには脱帽だ。

岩田康誠騎手のインタビューで「このレースで負けたら引退」という話を聞いて驚いたが、それくらいの決意を持ってレースに挑んでいたのだろう。ハクサンムーンとの着差はあまりなかったが、それでも先頭を譲らないところは、ロードカナロアの王者たる所以なのだろう。

また、このレースでは岩田康誠騎手の成長も感じた気がする。

彼は自分のことを「ノミの心臓」と表現していたように、期待を背負うとプレッシャーに負けてしまう騎手だった。言い換えれば、GIの1番人気で勝てない騎手だった。1番人気のブエナビスタに3度も騎乗したが、1度も勝てず、2番人気となったジャパンカップで勝利。ヴァーミリアン、アンライバルド、サダムパテックといった馬でも1番人気で勝てなかった。

2011年まで、GIの1番人気での成績は(1−3−2−3)とわずか1勝。勝ち切れない男だったのだ。

しかし2012年以降は5戦4勝と期待に応えられる男になっている。これは彼の成長以外の何物でもないと私は思う。

もちろん、ジェンティルドンナやロードカナロアといった稀代の名馬に乗れたことは大きいだろうし、彼らは「勝って当然」と思われる馬ではある。「岩田でなくても」という声もあるだろう。だが、GIで1番人気で勝つことは決して簡単なことではない。

武豊騎手が競馬界を代表する天才ジョッキーとなった理由は、「1番人気で勝ちきれるから」だ。裏を返せば、これをできる騎手は本当に限られている。だからこそ、武豊はスターだし、格好良いのだ。

話がそれたが、岩田騎手のこの成長は素直に評価されていいと思う。確かに彼の騎乗は荒っぽいし、批判の対象になることも多い。ただ実際には最近はスマートな騎乗をすることも多くなったし、巷で言われているほどひどい騎乗は減った。(悪いイメージが先行し過ぎていて、少々かわいそうなくらいだ)

ロードカナロアは岩田康誠という最高のパートナーを得たからこそ、絶対王者となれた。また、ロードカナロアがいたからこそ、岩田康誠は成長できた。

それは間違いないと私は思う。

彼らのラストランはマイルチャンピオンシップか香港スプリント(もしくはマイル)になるという。ここまで来たら最後まで絶対的な強さを見せてほしい。そう願ってやまない。

 

さて、今週は秋の天皇賞を見据えた有力馬たちが毎日王冠と京都大賞典に集まっている。いずれも少頭数だが、小波乱は起こりそうなメンバーという印象。それぞれのレースで、「現時点で注目している本命馬候補」は、この馬になります。

その馬の名は→(現在15位前後)