2009年の朝日杯FSを制し、3歳でジャパンカップで優勝したローズキングダムが遂に引退することになりました。
古馬になってからは精細を欠いて残念な成績に終わりましたが、競馬界を盛り上げた馬であることは間違いありません。
10年のジャパンCなどG1・2勝を挙げたローズキングダム(牡6歳、栗東・橋口厩舎)の現役引退が決まり、5日付で競走馬登録を抹消された。今後は種牡馬となる予定だが、けい養先は未定。
父キングカメハメハ、母ローズバドの血統で、通算成績は25戦6勝。09年に東京スポーツ杯2歳Sで重賞初制覇を果たすと、続く朝日杯FSも制し、2歳王者に輝いた。10年のダービーは、エイシンフラッシュの首差2着。ジャパンCは2位入線だったが、1位入線のブエナビスタの斜行により1着に繰り上がり、G1・2勝目を挙げた。古馬になってからは、11年の京都大賞典での1勝のみだったが、長く一線級で活躍。5月の新潟大賞典(11着)がラストランとなった。
(スポーツ報知より)
ローズキングダムは『薔薇一族』の悲願を叶えた馬だった。フランスから輸入されたローザネイという繁殖牝馬から派生するこの一族が大きな注目を集めたのが、ローズキングダムの母ローズバドの活躍だった。
ローズバドはGIで3レース連続2着と、強さを見せながらも勝ち切れない馬だった。強いのにGIに届かない。そのジンクスが人々の心をつかみ、いつしかGI勝利は「薔薇一族の悲願」と言われるようになった。
そして、一族の夢を叶えたのが他ならぬローズキングダムだった。一族のGI未勝利が嘘かのように鮮やかに抜け出した朝日杯は今でも鮮烈な印象を残している。3歳春には振るわないレースもあったが、ダービーでは僅差の2着。そして迎えた秋、菊花賞2着から臨んだジャパンカップで、悲願の古馬GI初制覇を成し遂げたのだった。
ブエナビスタの降着による繰り上がり、というのが、2着が多い薔薇一族らしいといえばらしいが、いずれにしてもローズキングダムは素晴らしい馬だった。少なくとも私はそう思う。
ただこれも血統の定めなのだろう。キングカメハメハ×サンデーサイレンスという組み合わせは、トゥザグローリーやコディーノもそうだが、底力や成長力に欠ける。古馬になってから思ったほど伸びなかったのは、この配合が影響していると考えられる。
引退の時期を間違えた感は強く、ジャパンカップの勝ち馬のラストランが新潟記念というのはとても残念。今後も種牡馬になる予定とはいえ、けい養先は決まっていない。しかも今や日本競馬の2大トレンド、キングマンボとSSの血を持っているため、配合の選択肢が限られる。前途多難な道のりが待っていることは間違いない。
だからこそ、ローズキングダムにとっての最良の選択をしてほしいと願う。日本で中途半端に種牡馬を続けるよりも、思い切って海外へ輸出したほうが彼にとって良いかもしれない。そういった選択肢も含めて検討してほしい。そうなることを、願っている。
ローズキングダム、まずはお疲れさま。そしてこれからも、元気で!