2度目の悲劇

後藤浩輝騎手がまたしても大事故に見舞われてしまった。

日曜日の東京10R、後藤騎手はジャングルハヤテに騎乗した。最後の直線、岩田騎手が騎乗するリラコサージュが外側に斜行。ジャングルハヤテは転倒し、後藤騎手は落馬した。

検査の結果、第5、6頸椎(けいつい)棘突起(きょくとっき)骨折と診断されたようで、全治は不明だという。

後藤騎手は2年前のNHKマイルCでも、岩田騎手が騎乗した馬の斜行による落馬事故で大けがを負っていた。このため、岩田騎手の騎乗ぶりへの批判が相次いでいる

・焼きそば騎乗(おしりトントン騎乗)
・強引な内への潜り込み
・フェイスにそぐわないイケメンなパフォーマンス(苦笑)

などなど、日頃から批判の多い岩田騎手。今回のことでさらに風当たりが強まることは必至だ。

ただ、今回はあえて岩田騎手を擁護してみたいと思う。(批判は2chやYahooのコメント欄をはじめとして、いくらでもあるので)

まずはパトロール映像を見てほしい。

東京10R パトロール映像

シゲルスダチの時は完全にスペースのない中での斜行で、どうしようもなかった。

しかし今回の場合は少し違う。

前にいたリベルタスとガチバトルの間に1〜2頭分ほどスペースが開いていた。

リベルタスの後ろにつけていた岩田騎手がこのスペースを狙うのは当然のことだろう。バテている馬が斜行したのと違い、リラコサージュは十分に伸びていた。だからあのスペースを狙う資格があった

ただ、同じく後藤騎手が騎乗していたジャングルハヤテも脚をあましていた。同じタイミングで同じスペースに向かい、2頭の馬が突っ込んだわけだ。

こういうシーンは競馬をやっている者なら何度も見たことがあるだろう。というか日常茶飯事の出来事だ。

今回は運悪くタイミングが悪くてジャングルハヤテが転倒してしまったが、フラットな目線で見るとそこまで「悪質」なものだったとは思えない。(もちろん、日常茶飯事だから許してOKとかそういう問題ではない。あくまでも現実的な話として受け取って欲しい)

岩田騎手の騎乗が普段から「過激」であるため、今回のような事故を起こす危険性をはらんでいることは間違いない。そういう点では、批判されてしかるべきだ。

ただ、今回の騎乗で「騎手をやめろ」とか「お前も同じように落馬しろ」とか、そういう暴言を吐くのは違うのではないか。と、映像を見て、率直に感じる。

岩田騎手の騎乗ぶりは批判されるべきか?

今回の問題が大きく取り上げられている原因の一つとして、「騎乗ぶりが美しくないこと」、「普段から制裁が多いこと」が挙げられる。

ただ、とてもむずかしい問題なのではないだろうか。

日本人騎手に最も欠けているのは「ハングリー精神」だ。多少強引になったとしても勝ちにこだわる精神力こそ、日本人騎手に求められている。

岩田騎手はハングリー精神を持っている数少ない日本人騎手だ。

だから、勝ち星を重ねているわけだし、大一番に強い。多少フォームが汚かろうが、勝つことで自分の存在価値を証明する。そんな騎手だと思う。

もちろん、だからといって事故を起こしていいわけではないし、危ない騎乗を擁護する気はさらさらない。制裁を受けるような騎乗はなくしていかなければいけない。

しかし、現実的な問題として考えてみよう。

誰もが武豊騎手になれるわけではない。

美しいフォームでスマートに騎乗して勝てればいいが、このスタイルで勝てる騎手は限られている。

だから試行錯誤して勝つためのスタイルを追求していく。その結果が今の形だとしたら、私はそれを批判する気にはなれない。(重ね重ね、危険な騎乗を正当化しているわけではないのであしからず)

印象が悪くなってしまうのは仕方がないし、好き嫌いはあるだろう。

しかし、こういう騎手が批判されてばかりだと、それこそ日本人騎手は育たなくなってしまうのではないか?

実際、現在のリーディング上位にいる川田将雅騎手や浜中俊騎手は“正統派”の騎乗フォームではない。だが、そういう騎手が結果を出している。それは、試行錯誤の結果だと私は思う。

難しい問題なので、こういうことを書くこと自体にリスクがある。ただ、岩田騎手を袋叩きにする現状は、決して正しいことではないと感じたので、あえて書かせてもらった。

いろいろな意見があるだろうが、「こういう考えもあるんだな」という程度に、頭にとどめておいてもらえれば幸いだ。

さて、今週は天皇賞春が行われる。キズナやウインバリアシオン、ゴールドシップが人気になるだろうが、現時点であまり評価していない馬はこの馬になります。

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