宝塚記念でジェンティルドンナとフェノーメノを一蹴し、“4歳最強”を証明したゴールドシップ。
その圧倒的なスタミナ、重たい馬場への高い適性から、周囲では「凱旋門賞挑戦を」との声も挙がっている。
現実問題、凱旋門賞の登録は既に締め切られていて、出走するためには莫大な追加登録料(約1300万円)を支払わなければならない。出走の可能性はかなり低いと見ていいだろう。
だが、須貝調教師が気になる発言をした。
「年初から2013年は日本国内で競馬をするつもりでいましたから。今のところ、それを貫きたいという考えが強いですね」
そう前置きした上で、彼は「ただ」と付け加える。
「『凱旋門に挑戦して欲しい』という声があるのはわかっています。だから、今後の状態次第で海外も視野には入れつつ、じっくり決めていくつもりです」
実現性は低いだろう。しかし、調教師の口からこういった言葉が出たのだから、1ファンとしてはその可能性に期待してしまう。
もちろん、国内の競馬を盛り上げるために、国内で最強を証明するために、秋古馬3冠を最大目標に掲げることは何らおかしいことではない。
ただ、ゴールドシップには「その先」を期待してしまうのだ。
ゴールドシップなら、日本競馬が果たせていない夢を、ホースマンの悲願を、叶えてくれるかもしれない。そう思ってしまう、そう思わせてくれる馬なのだ。
タマモクロス、メジロマックイーンから続く“芦毛伝説”。その物語の続きが、フランス・ロンシャンで繰り広げられるとしたら……これ以上に胸躍ることはないだろう。そしておそらく、その結末はハッピーエンドに終わる。あるいは栗毛の馬体との合わせ馬の果てに、日本競馬の未来を見ることができるはずだ。
ゴールドシップはどのような道を歩むのか。その決断の日を待ちたい。