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武豊は本当に絵になる男だ。

第80回のメモリアルダービーは、武豊の武豊による武豊のためのダービーとなった

ダービーに出走する馬は18頭。騎手の数は18人。それぞれの思いを胸に、レースに臨んだはずだ。しかし、競馬場に訪れた14万人の観客のほとんどは、 「1枠1番」以外の馬券を握りしめながらも武豊のスペシャルストーリーを望んでいたように思えた。

最後の直線、キズナが脚を伸ばし始めた時の歓声は凄まじかった。

残り数百メートル、キズナが前を捉え始めた時の声援はものすごかった。

そして、キズナがゴール板を駆け抜けた瞬間、競馬場にいたすべての人々は武豊のことしか見えなくなった。

そんな錯覚(いや、決して錯覚ではないのだ)に陥るほど、武豊は競馬場の雰囲気を支配していたのだ。

「僕は帰ってきました!」

勝利ジョッキーインタビューで最後に言い放った一言がすべてを物語っていた。ケガなどによる不調から抜けだせずに苦しんでいたが、今年に入ってから“らしさ”を感じさせる騎乗が増えていた。とりわけ、人気馬に乗った時は「武豊の武豊たるゆえん」を思わせる騎乗も増えてきた。

そして今日、改めて「戻ってきたんだなぁ」と感じさせてもらった。私はとりわけ武豊騎手のファンではないが、やはり武豊の復活はイチ競馬ファンとして本当に嬉しい。そして彼の存在はやはり競馬を盛り上げる

「競馬は筋書きのないドラマ」というけれど、時々筋書きがあったのではないかと思うことがある。

しかし、今日起こった出来事は筋書きなんて書きようがないほど何もかもがドラマティックだった。

その中心に、武豊がいた。それだけで、競馬を見てきてよかったと思えた。

いやー、本当にいいものを見せてもらった。回顧などは改めて。今はただただ、この余韻に浸りたい。武豊騎手、ダービー5勝目、本当におめでとうございます!