1番人気4着に終わったローマンレジェンド (C)阪神サラブレッドクラブ
ジャパンカップダートは競馬界に夢を与える結果に終わったと言っても過言ではない。
競馬界の中心にいる一大勢力といえば社台グループ。しかし、JCダートにおいて社台の名前は1つも登場しなかった。
1着 ニホンピロアワーズ
馬主:小林百太郎
生産:片岡牧場
2着 ワンダーアキュート
馬主:山本信行
生産:フクダファーム
3着 ホッコータルマエ
馬主:矢部幸一
生産:市川ファーム
ご覧のとおり、「社台」の名前はひとつも出てこない。ニホンピロアワーズを生産した片岡牧場は夫婦2人で経営している小さな牧場で、繁殖牝馬は3頭だけとのこと。「ニホンピロ」の小林オーナーとは30年来の付き合いだそう。
そんなオーナーと小さな牧場が手がけた馬が、苦渋を味わったジョッキーのもと、社台のローマンレジェンドを倒してしまったのだから競馬ファンとしては胸の熱くなる話だろう。(私は社台グループを毛嫌いしているわけではないし、むしろ経営努力があってこその今なのだから称賛されるべきとすら思っているが。)
ただ、社台がJCダートをどのように捉えているのかもまた、浮き彫りになったように思う。なぜ社台は負けたのか、なぜ3着内独占を許したのか。キーワードは、「種牡馬価値」である。
御存知の通り、日本の競馬は芝がメインでダートはサブ的な役割の域を出ない。
芝のレースで活躍したなら、例えGIを買っていなくとも種牡馬になるケースは少なくないが、いくらダートのGIを勝ってもなかなか種牡馬にはなれないのが現実である。それほど、芝とダートのGIの価値には差がある。
実際、今回のJCダートに出走していたエスポワールシチーやトランセンドなどは、芝であれば引退してもおかしくない年齢と成績だ。にも関わらず、走らされ続けるのは、やはり種牡馬価値が高くないからだろう。ダートGI7勝を挙げたブルーコンコルドも、9歳まで走らされた挙句、種牡馬にはなれず乗馬となっている。
逆に言えば生産者側にとっても、種牡馬価値の上がらないGIなどさほど重要ではないわけだ。社台グループがJCダートを本気で取りに来ない理由は、まさにこの「種牡馬価値が上がらないGI」だからである。
社台と非社台。力関係には歴然の差があるだけに、なかなか牙城を崩すことは難しいだろう。最近は社台が本気を出さないようなレース(ダートGI、非根幹距離GIなど)で非社台が台頭する、というのが現実になっている。
ただ、やはり一人の競馬ファンとして思うのは、社台の一人勝ちは健全な体制ではないと感じるし、ゴールドシップのように社台が獲りたいGIで勝てる馬も出てきているだけに、日高をはじめとする生産者たちの奮起に期待したい。
さて、今週は2歳牝馬の頂上決戦阪神ジュベナイルフィリーズ。朝日杯と違って牝馬クラシックに直結するレースだ。その注目のGIで重要な要素は以下である。
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