撮影:arima0208

2012年の日本ダービー馬ディープブリランテがキングジョージに挑戦した。しかし世界制覇を目指して臨んだ一戦は、直千入り口で既に手応えなく、見せ場すら作ることができなかった。結果は10頭立ての8着。デインドリームが歴史的快挙を成し遂げた一方で、ディープブリランテの陣営は悔しさだけが残る遠征となった。

なぜディープブリランテは刃が立たなかったのか。仮にもダービー馬が、あんな負け方をしてしまったのか。

大きく分けて、3つの理由を挙げたいと思う。




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欧州の一流馬には比較にならない血統的スタミナの欠如

最大の敗因はやはり血統面だろう。ダービー後、あるいは遠征決定の際にディープブリランテの血統については触れてきたが、欧州の一流馬と比較するとスタミナの欠如は明らかだった。

父ディープインパクト
母父ルウソヴァージュ

ディープインパクトは菊花賞や天皇賞春を勝っているが、産駒は京都や東京などの軽い馬場で力を発揮する傾向にある。逆に阪神や中山ではパフォーマンスを落とす。

また、良馬場時に45%を誇る複勝率も不良馬場になると32%と大幅にダウンする。

ディープブリランテ自身は不良馬場の東スポ2歳Sを勝っているし、典型的なディープ産駒よりも馬力のあるタイプだけに克服する可能性もあると期待を見出してはいたが、母系は欧州の一流どころを相手にするには厳しすぎた。

母父のルウソヴァージュは仏GIイスパーン賞(芝1850m)の勝ち馬で、適正距離は1800〜2000mといったところ。馬場の重たいアスコットの2400mをこなすには、頼りない母系だったわけだ。

このように、血統的な下地の違いが最も大きな敗因だったと考えられる。秋はおそらく天皇賞秋→JCというローテを歩むだろうが、日本の2400mすら長いと危惧している。

ダービー制覇は馬の強さ“だけ”で勝ち取った栄光ではない

皐月賞は速い馬が勝つ。

ダービーは運のある馬が勝つ。

菊花賞は強い馬が勝つ。

昔から言われている格言だが、ディープブリランテのダービーはまさに“運を味方にした”レースだったといえる。

【日本ダービー回顧】ディープブリランテの血統的“欠陥”とそれを跳ね除けた名血

ダービーの回顧でも述べたが、ディープブリランテのダービー制覇は多くのプラス要素が重なった結果だった。

スタミナ的に厳しいディープブリランテだったが、ダービーの日の東京競馬場はネヴァーベンド系がかなりの好成績を残していた。実際、1週前のオークスを制したジェンティルドンナもネヴァーベンドの血を持っていた。

しかも当日は前が止まらない馬場で、先行したディープブリランテにとっては最高の条件が揃っていたといえる。例えば不利が重なりながらも勝ったダービーであれば文句なしに「実力」と評価できるわけだが、今年の場合は“物言い”を付けたくなるような条件が多々あったということは、事実として覚えておきたい。

欧州と日本、“最強の基準”の乖離

そして3つ目。これはもはや決定的なものだろう。欧州と日本では、“最強馬”の基準がまったく異なる。

欧州はとにかく重い馬場をこなせる身体能力(スタミナ、底力)を持った馬が“最強馬”とされる。馬場も硬くなりすぎた場合には散水してあえて道悪にするということも日常茶飯事。

一方、日本はご存知の通り、高速馬場問題を抱えている。タイムの出る馬場でいかにスピードを出せるか。それが、日本の最強馬の基準である。

このかけ離れた2つの目標。当然、馬作りの方法に違いは出てくるし、欧州型の最強馬では日本で勝てないため、誰も作ろうとしない。日本で勝ち上がっていくほとんどの馬は、スピードに優れた馬ではあるが、スタミナに優れているというわけではない。

もちろん、どちらが良いという問題ではない。目指すところが違うというだけの話だ。しかしながら、もし世界最高峰のレースである凱旋門賞やキングジョージを勝ちたいのであれば、日本競馬全体で変わって行かなければこの問題を克服することは困難である。

欧州のように、毎回道悪にしろとは言わないが、高速馬場の問題は本当にどうにか解決してもらいたい。もしできなければ、日本競馬に明日はないとすら感じる。

以上、3つ挙げたが、これはほんの一例。様々な問題を解決して行かなければ海外での勝利は厳しい。そのあたり、馬作りの現場にいる人々だけでなく、JRAにも本気で考えてもらいたい。

ディープブリランテやスタッフたちの努力を無駄にしないためにも、この敗戦から何かを学び取らなければならない。

【クイーンS】札幌芝1800mで躍動した注目血統

さて、今週は札幌芝1800mで行われるクイーンS。的中への近道は馬場状態をつかむことだ。

先週末、札幌芝1800mは3レース行われた。日曜日の最終12Rでは10番人気のケープタウンシチーが勝利を収めたが、同馬を含む3レースの勝ち馬3頭はある共通の血を持っていた。

この血は、クイーンSを攻略する上でもキーとなってくる。その、ポイントとなる種牡馬とは……

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